Google DeepMindは2026年10月27日、文章や画像の指示だけで仮想世界をリアルタイムに生成するAIの最新モデル「Genie 4(ジーニー4)」を発表した。従来の映像生成に加え、風の音や音楽、人の声まで作り出せるようになり、登場人物がその場で会話する世界が実現した。
この発表について米国メディア GIZMODO JAPAN(ギズモード・ジャパン) が詳報している。同誌の報道によれば、Genie 4で生成されたデモ映像には1980年代の日本の地方駅も登場し、昭和の記録映像を思わせる光景が、実在しない場所でありながら、AIによって一から作り出されたという。
昭和の地方駅をAIが再現
公開されたデモには、赤いローカル列車が停まる駅のホームが描かれている。荷物を抱えて歩く乗客、列車を待つ人々、駅員に至るまで、そのすべてがAI製である。撮影地は存在せず、人が歩き、列車に乗り込む動作までがその場で生成されている。
この機能自体は前モデルのGenie 3にもあったが、今回は人の動きや物理現象の再現が進化し、音声の生成に対応した点が大きく前進している。ITmedia は、映像品質や物理演算の向上に加え、環境音と会話音声の同時生成に対応したと伝えている。
住人がその場で会話する世界
Genie 4の特徴は、登場人物が話すことである。従来のゲームでは、村人に話しかけても同じ台詞が返ってくるのが通例だった。Genie 4では、登場人物が周囲の状況や利用者の入力に反応し、話す内容をその場で生成する。
駅で通行人に道を尋ねれば、無愛想な駅員や話好きな乗客といった、その場に応じた返事が返ってくる可能性があるという。
また、ドラゴンの背中で空を飛ぶデモでは、翼の羽ばたく音も風の音もAIが生成した。湖に浮かぶ足場で男性がサックスを演奏する場面では、楽器の音色に加え、周囲の水音や風音まで再現されている。
Geminiとの連携で世界が変わる
文章で指示を出せば、途中で天気を変えたり、新しい人物や物を登場させたりすることも可能だ。天気の変更や人物の追加はGenie 3でも実現していたが、Genie 4ではGoogleのAI「Gemini」が場面を見ながら、指示に合わせて世界の変化を調整するという。
朝鮮日報(Chosun) は、この種の「ワールドモデル」と呼ばれる技術は、空間や物体の動き、相互作用をAIが予測して仮想環境を実現するものであり、ゲームや映画制作のみならず、ロボットの訓練にも活用が期待されると報じている。
一般公開は今後の課題
ただし、この世界へ今すぐ誰でも入れるわけではない。現在は限られたテスター向けの研究プレビュー段階であり、Googleの最上位プラン「Google AI Ultra」加入者などへの提供は今後の予定とされている。
TECH NOISY の報道によれば、ゲーム開発者やクリエイティブ分野の技術者がすでにGenie 4を試しており、最初のアイデアから歩き回れる試作品までを数秒で作れるという。ゲームエンジンでコードを書く前に、世界観の方向性を確かめる期間を短縮する狙いだ。
技術の進展がもたらす問い
昭和の日本の駅が、実在しないままに再現される。我が国が育んできた町並みや暮らしの記憶が、新たな技術の素材として世界に紹介されることは、伝統文化への関心が広がる機会ともいえよう。一方で、実在しない映像が実在の記録と見分けがつかなくなる時代が確実に近づいている。
技術の進展は、それを用いる側の知恵と節度を試す。Genie 4が開く世界が、創造と記録のあり方にどんな変化をもたらすか、今後の展開を見守りたい。
よくある質問
Genie 4とは何ですか?
Google DeepMindが2026年10月27日に発表した、仮想世界をリアルタイムで生成するAIモデルです。映像に加えて音声や会話を生成できます。
Genie 4は誰でも使えますか?
現時点では限られたテスター向けの研究プレビューです。Google AI Ultra加入者などへの一般提供は今後予定されています。
Genie 3と何が違いますか?
人の動きや物理現象の再現が進化し、環境音や登場人物の会話まで生成できるようになった点です。天気の変更などの指示調整にはGeminiが連携します。
