ネット発の「古いファッション」論争とは
2025年10月末、ネット掲示板のまとめサイト「2chニュー速クオリティ」が紹介した「ダサい中年男性しか着ていない古臭いファッションアイテム・ワースト5」をめぐり、ネット上で賛否が交錯する議論が広がっています。ノースフェイスのジャケット、カナダグースのダウン、ナイキのフリース、Supremeのロゴ商品、ボディバッグといった品々が名指しされました。
投稿に対する反応は、揶揄に同調する声よりも、むしろ「中年男性を一括りに貶める風潮」への違和感が目立ちました。2chニュー速クオリティのまとめ記事によれば、コメント欄には「ユニクロが攻守最強」「しまむらで十分」といった実用本位の声が相次ぎ、ブランド志向そのものへの冷ややかな視線が際立っています。
「誰もチェックしていない」実感とTPOの知恵
反応の多くは、中年男性の服装の本分は飾りではなく実用にあるという至極まっとうな指摘でした。「冬はあったかく夏は涼しく過ごせればなんでもええやろ」との声や、「防寒、断熱が目的」という率直な感想が寄せられました。また「おっさんの服なんて誰もチェックしていない。TPOを大きく外さない範囲だったら何着てても問題ない」という意見もあり、場に即した装いを心がけるという、我が国で古くから大切にされてきた作法への回帰がうかがえます。
さらに「子供にお金を使わなきゃけけないから、流行りが終わってようが着れる物を着る。ダサいとか気にしてる余裕はない」というコメントは、家族を養う父親の実像を如実に物語っています。家計を預かる身として、自らの被服にお金を回さないのは、むしろ誇るべき姿勢とも言えるでしょう。
アパレル業界の論理への疑問
注目すべきは、こうした「ダサい」言説の背景にある商業的思惑を看破する声です。ある投稿者は「アパレル業界からしたら金にならない敵だからこういう記事が出る」と指摘しました。流行を煽り、消費を促す論理に対し、一つの品を長く大切に着続ける生活態度こそが、物を慈しむ日本人の美徳に通じると言えます。
「流行りに乗せられるのがいちばんダサい。体型に合う服を長年着ているのがまちがいない」というなんでもいいよちゃんねるNEOの反論も、この議論に一石を投じています。また、スタイリストが「5年前の服はただちに捨ててください」と忠告したところ、本人の服装を「流行遅れでダサい」と切り返された騒動を検証した時事事故ふかぼり記事もあり、断罪する側の説得力を疑う声が広がっています。
専門家が語る「ダサい」の正体
実はこの騒動、今に始まったことではありません。今年6月、生成AIで作成された「休日のショッピングモールで見かける中年男性の服装画像」がSNSに投稿され、「イオンモールおじさん」として賛否を呼びました。まいどなニュースは400人アンケートをもとに50代以上男性の実態を取材し、「ダサい」を何が決めるのかを著した神戸大の平芳裕子教授の見解を紹介しています。
同記事はYahoo!ニュースにも配信され、まいどなニュース発の調査報道として幅広く読まれました。青シャツにチノパン、ボディバッグという「無難」な装いがなぜ嘲笑の対象になるのか、その基準の曖昧さこそが問題の核心です。
無難な装いは悪か
掲示板の反応には「ノースフェイスがダサいってなることはなさそうなイメージ。とにかく無難過ぎる」という声もありましたが、それに対し「これだけ流行るとね」との返しもありました。流行とは移ろいであり、30年前にもノースフェイスのブームはあったという指摘も寄せられています。
「卒業というか、他に好みを見つけた奴が『ダサい!ダサい!』って言ってるだけ。何かを下げないと自分を保てない奴らが増えた」という投稿は、他者を貶めることでしか自己を確立できない現代ネット文化の空洞化を鋭く突いています。
「中年男性にだけは何言っても許されるという風潮がまだ残っている。中年女性の企画だったら大炎上している」との指摘も重い。特定の層を安全な標的にする言説は、成熟した社会の言論として看過できません。
品格は移ろう流行の中にあらず
服装の本質は、その人となりを表す品格にあります。清潔であり、場に即し、家族を思い、物を大切にする。そのような装いは、ブランド名や流行の新古では測れません。今年6月の「イオンモールおじさん」騒動以降、繰り返される中年男性への揶揄に対し、ネットの声は静かに、しかし確かに「実用こそ正解」との結論を出しつつあります。
中年男性のファッション、何が正解か
「ダサい」と言われるアイテムを避けるべきか
掲示板の大勢は、避ける必要はないとしています。防寒や実用を満たし、TPOを外さなければ足りるというのが主流の意見です。
なぜ中年男性だけが標的になるのか
神戸大の平芳裕子教授の研究や400人アンケートが示すように、「ダサい」の基準は曖昧で、社会的に反論しにくい層が標的になりやすいと指摘されています。
アパレル業界とこの論争の関係は
消費を促す業界にとって、長く同じ服を着続ける中年男性は「金にならない敵」だという見方があり、話題作りと結び付いているとの指摘がネット上でなされています。
